研究概要 |
1. 積雪のある森林小流域に置ける熱収支を,融雪モデルと流出モデルを組み合わせることによって評価した.森林小流域を巨視的に,それぞれ一層の植被層と積雪層からなる系と考えることによって,森林から大気への顕熱フラックスを見積もった.その結果,枝葉上に雪がなければ,真冬の2月下旬でも40〜60Wm^<-2>の顕熱フラックスが大気に供給され,大気は加熱されることがわかった.さらに,熱収支の様子が,植被の有無によってどのようにかわるかについても調べた. 2. 融雪期の大気昇温について,データ解析とモデルの両面から検討した.データ解析の結果,積雪が十分に残っている時期の平野部でも,日中の気温が0℃以上になる例が示された.また,日中の気温が高くなる割合は,日照時間が多くなるほど高いことがわかった.しかし,風速は弱くても気温が高くなる割合にはあまり関係がない.つまり,移流が小さいと考えられる風速の弱い日でも,日射が強ければ日中の気温は高くなる.一方,局地循環モデルに森林の熱収支モデルを組み合わせて行った計算で,森林が存在すれば森林から大気へ向かって顕熱が輸送され,大気が加熱されることが示された.また,2次元モデルの計算により,平野部の森林のない積雪面であっても,周辺に森林が存在すれば平野部の大気も昇温することがわかった.以上のことから,森林の存在は融雪期の大気の昇温の主要な原因の一つであると結論づけられた. 3. 積雪面のアルべ-トの日平均値を日平均気温と日降水量によってパラメータ化した.
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