地下水涵養や地下水汚染問題に関して、従来のマトリックスフローでは説明できない早い流れが観測されており、その原因としての二相流境界における不安定性現象を明らかにするために、特に濡れ前線の不安定現象に注目して実験を行った結果、以下のことが明らかになった。 (1)土壌水分量の違いが不安定現象発生に与える影響は、水分量の小さい土壌において大きい。つまり、土壌水分量の少ない土壌の方が、不安定現象がより発生しやすい。 (2)同じ土壌で供給速度を早くすると、不安定現象として発生するフィンギュアの幅はあまり変化しないが数が増加する。 (3)同じ供給速度で土壌の粒径が粗くなると、フィンギュアの数はあまり変化しないが幅が減少する。 (4)上層土壌の粒径が下層土壌より小さい2層モデルでは、粒径差が大きいほど不安定現象が発生しやすい。 (5)3次元構造の実験により、フィンギュアの直径は、理論値より小さい傾向が認められる。 今後は、フィンギュアの3次元構造を正確に記述する理論の構築と、亀裂岩中の不安定性現象の実験、および透水係数など媒体の水理特性の不均質性のパラメータライズが必要である。
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