ドリフトチューブ型の高分解能移動度スペクトロメータを用いて、大気イオン移動度スペクトルの連続観測システムを構築した。ドリフトチューブはガードリング(ステンレス、内径phi52、外径phi70)をテフロンのスペ-サで絶縁しながら積み重ねた構造になっている。ガードリングは互いに電気抵抗でつながれており、両端のガードリングの間には±500V〜±3000Vの電圧が高圧電源より加えられる。ドリフトチューブの一方の端には金メッキしたタングステンワイヤ(線径60mum)を用いて製作したシャッターを、他端にはイオン電流検出用のコレクター電極(ステンレス)を設置した。シャッターの開閉はフォトカプラを用いた高圧パルス発生回路をパソコンからの信号で制御して行った。また、検出されたイオン電流は高速電流アンプにより電圧信号に変換され、16bitのA/D変換ボードによりデジタル化された後パソコンで処理されるようにした。 連続観測システムは移動度スペクトロメータの他にゲルジエン型の電気伝導度計とフィールドミル型の大気電場計、および風向、風速、気温、気圧、湿度などの気象観測装置から構成した。 連続観測の結果、正および負の大気イオン移動度スペクトルは必ずしも一定ではなく、日により変化することがわかった。しかしながら、まだ貯蓄されたデータがわずかであるためその変化がどのような原因によって起こるのかははっきりしない。今後データの蓄積を続け、大気イオン移動度スペクトルの変化の原因と、それが他の大気電気パラメータに与える影響を調べる予定である。
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