研究概要 |
本研究では,(1)堆積相の境界長をもとにした解析,(2)それをもとにした河川堆積物の地史的変遷の解明に取り組んだ. (1)については,東海層群瀬戸陶土層を対象にした.今回は,中山(1991)のスケッチ資料に,その後の露頭の露出状況の変化に伴う情報を加えた資料をもとにパソコンによる解析を試みた.解析は2つの方法で行なった.第1の手法においては,各堆積相の相互関係を解析する目的で,2つの堆積する目的で,2つの堆積相の境界線の長さが2つの堆積相の推移関係を代表しうる値と考え,基本的にマルコフ解析と同様な方法で解析した.第2の手法は,スケッチにみられる各堆積相の水平方向への広がりの頻度を読み取り,これによって各堆積相の堆積過程の特徴を明らかにしようとするものである. 第1の手法では,扇状地と湖沼地という明らかに異なる環境で形成されたであろう地層の全てを含めて解析したが,結果として露頭観察で定性的に確認できた推移関係を定量的に示すことができた.しかし,古流向資料を含めて解析することには失敗した.第2の手法は,単に各堆積相の水平方向への広がりの頻度を読み取ったものであり,格別な統計処理は行なっていない.しかし,この単純な作業によって堆積体のシート状あるいはロープ状といった形状や,アマルガメイトなどに対して指標を与えることができた.すなわち,堆積体の水平方向への連続は堆積環境・過程と深く係わっているといえる. (2)については,東海層群全体を対象とした.これについては,堆積相解析に基づく定性的な解明まででき,島孤地域に発逹する河川層に気候変動だけではなく構造運動による構造運動による河川相制御が記録されていることを明らかにできたが,露出状況の制約によって(1)で用いた方法をそのまま適用することはできなかった.
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