研究課題/領域番号 |
05740324
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
層位・古生物学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
前田 晴良 京都大学, 理学部, 助手 (10181588)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1993年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 白亜紀アンモナイト / デスモセラス上科 / 化石化作用 / 選択的溶脱 / 殻の圧密 / フィロセラス類 |
研究概要 |
白亜系の蝦夷層群(北海道)および宮古層群(岩手県)を調査し、Desmocerataceae上科の属種を含むアンモナイト化石群の産状や保存状態を、野外および室内で詳細に観察した結果、個体のサイズによって殻の保存・産状が大きく異なっていることがわかった。 小型の殻は、特に石灰質ノジュール中に含まれている場合、ほぼ完璧な保存状態で産する場合が多い。気房は圧密を受けておらず、方解石が気室内部を埋めているので、遺骸の埋積後、すみやかに石灰化が生じたと考えられる。ただし、遺骸が腐敗する過程で、細菌が気室に侵入した結果、体管が分解される場合もあることが確認された。いずれにしても、Desmocerataceae諸属の小型個体は、死後、気室内に海水が侵入し、浮力を失って海底に沈み、さらに埋没後、早い段階で周囲の堆積物が固結して保存されることが多かったものと推定される。 これに対し、直径30cmを超える大型の個体は、気室内に堆積物が侵入し、圧密や殻の上面の選択的溶脱をこうむっている。しかし、このような殻のダメ-ジの大半は、埋没後の続成作用によるものであることがわかった。少なくとも、現生オオムガイのように、死骸が浮上して長期間にわたり漂流したという証拠はない。おそらく、小型の個体と同様、死後、すみやかに海底に沈んだものと考えられる。 一方、本研究の結果、Phylloceras類は、Desmocerataceae上科の緒属と同所的に産出するにもかかわらず、住房がほとんどすべて欠損し、気室のいくつかが明らかに堆積以前にパンクしているなど、他のアンモナイトに較べ特異な保存状を示していることが新たにわかった。今後、両者の産状をさらに詳しく調査し、化石化のプロセスの違いを明らかにしてゆく必要がある。
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