研究課題/領域番号 |
05740335
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
岩石・鉱物・鉱床学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
野坂 俊夫 岡山大学, 理学部, 助手 (80252948)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1993年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 捕獲岩 / 上部マントル / 下部地殻 / 西南日本 / 再結晶作用 |
研究概要 |
西南日本の地下深部における温度構造の変化や変形作用の過程を明らかにすることを目的として、玄武岩中の捕獲岩における再結晶組織の解析を試みた。研究地域として岡山県中部および北西部を選び、捕獲岩を採取し、光学顕微鏡、電子顕微鏡、EPMAによって再結晶相の同定と分析を行った。その結果次のことが明らかになった。 1.初生斜方輝石は、かんらん石、単斜輝石、スピネル、アルカリ長石から成る反応縁を持つ。 2.初生藍晶石の周囲には、コランダム、斜長石、アルカリ長石、スピネルが生成している。 3.初生ざくろ石は、かんらん石、スピネル、斜長石から成るシンプレクタイトに分解している。 4.初生単斜輝石は、局所的に再結晶単斜輝石に置換されており、再結晶単斜輝石の光学的方位は定向性を持つ。 上記1.と2.は明らかに等化学的反応生成物ではなく、捕獲岩と玄武岩質マグマとの反応によって生じたものと考えられる。また3.は捕獲岩の閉じた系での反応によって説明可能であるが、温度上昇か圧力低下、あるいはその両方が必要であり、捕獲岩がマグマに取り込まれて以降の現象であると考えられる。一方4.は等化学的再結晶であり、生成物が定向性を有することは地下深部における変形作用を示唆している。さらに初生単斜輝石が離溶斜方輝石を持つのに対し、再結晶単斜輝石にはそれが欠如していることから、変形作用は岩石固結後の冷却時の現象であると推定される。 以上のように、捕獲岩における再結晶作用は、捕獲岩がマグマに取り込まれる以前と以降の現象に分けることができる。そして捕獲以前の再結晶作用は岩石冷却時の現象であり、高温下における岩石の変形、歪みの過程を解明する上で重要である。今後その定量的解析を進めていく予定である。
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