この研究は、気-液界面の構造をX線回折法により解明しようというものである。今まで、表面のような散乱有効体積の小さなものの測定には、放射光のような高輝度のX線を全反射させることによって表面のみの散乱を得ようとするgrazing incidence法が用いられてきた。今回は、実験室レベルの測定を可能とするため、検出器の感度を上げることに着目し、イメージングプレートを用いた回折装置の設計を行い、一部の製作を開始した。 1.X線発生部 X線源には、X線の試料への侵入長を考え、波長の長いCr Kalphaを用いることとした。現有の3kW封入管式X線発生装置のチューブシールドを軽量化し、角度調節可能とした。また、モノクロメータに非対称カットのSilll結晶を用いることにより、単位面積当たりのX線強度を約20倍に上げ、強度の弱い封入管の弱点をカバーする。また、1度以下という入射角の微調整には、モノクロメータを角度分解能0.006°の自動ゴニオステージ上に設置することおよび位置分解能0.01mmの精度を持った自動Z軸フラットステージに載った試料を上下させることによって行うこととする。 2.検出部 イメージングプレート(輝尽性発光体が塗布されたフレキシブルなシートで、入射した放射線のエネルギーを準安定な色中心の形成によって蓄積し、後で読み出すことのできる蓄積型放射線検出器)を試料周囲に半円周状に配置させることによって、全角度範囲を同時に測定可能とした回折計を設計した。 今年度はX線発生部を中心に設計および製作を行ったが、現在は試料周辺部に関する設計を行っている。今後は製作した装置の性能評価を行いつつ、イメージングプレートおよび読み取り専用装置の設置を予定している。(平成6年度科研費申請中)
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