研究課題/領域番号 |
05740389
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機化学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 一彦 名古屋大学, 理学部, 助手 (90202093)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1993年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 5配位スズクラスター触媒 / 不斉エポキシ開環反応 / リン酸ビナフチル |
研究概要 |
申請者はジアルキルスズ化合物と光学活性リン酸ビナフチルとから、特殊な手法によって新規な光学活性5配位スズクラスターの合成に成功した。この種の5配位スズクラスターは申請者によって初めて単離合成されたものである。元素分析および分子量測定を行った結果、このものはスズ原子とリン原子を1:1に含み、溶液中では4量体を形成していることが明らかになった。またNMR測定から、この化合物には2つの5配位スズ原子と2つの6配位スズ原子が存在し、従来にない珍しい構造を有していることを見い出した。この化合物が種々の脱水反応、エステル交換反応、およびエポキシドの開環反応などの触媒として極めて高い活性を示すことを見い出した。当該年度は主にアルコールによるエポキシドの不斉開環反応に関して検討を行った。2%の光学活性5配位スズクラスター触媒を用い、シクロヘキセンオキシドのメタノールによる開環反応を行ったところ反応はほぼ定量的に進行し、最高25%の鏡像体過剰率で対応する付加物が得られた。光学活性ルイス酸触媒によるエポキシドの開環反応において、無保護のアルコールを求核剤として用いて鏡像体過剰率が観測された例はほとんど知られていない。申請者が得た結果は極めて興味深い。またこの反応では温度の上昇と共に生成物の鏡像体過剰率が上昇するという、一見奇妙な現象が観測された。リン酸ビナフチルを有する5配位スズクラスターが溶液中、高温において2量体と4量体の平衡混合物として存在し、温度の上昇と共に不斉識別能が高い2量体の割合が増加するためであろうと考えられる。
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