研究概要 |
1.種々のアセチレン付加体(1)の合成 フェニルアセチレン誘導体とR_3SnSiMe_2Hより付加体(1)を合成した(式1)。NiCl_2(PEt_3)_2を用いたとき付加体(1)の収率が最も高く、アセチレンのオリゴマー化も抑制することができた[NiCl_2(PPh_3)_2:(33%),NiCl_2(PBu_3)_2:(59%),NiCl_2(PEt_3)_2:(73%)]。また、PdCl_2(PhCN)_2とP(OR)_3の触媒系でも目的付加体が得られることが分かった。脂肪族末端アセチレン誘導体との反応ではオリゴマー化の優先を抑制することはできなかった。アセチレンガスの反応ではR_3SnSiMe_2Hの分解物及びアセチレンのオリゴマーが主成分であり、そのため目的付加体の純度は低かった。また、付加体の立体配置はE/Z=50/50であった。なお、内部アセチレンは全く反応しなかった。 2.有機合成への応用 ビニルスズの反応性を利用してスズ基の付加した炭素へ炭素官能基の導入反応(リチオ化及び求電子置換反応、触媒的クロスカップリング反応)を種々検討したが、ケイ素原子に水素があるため脱シリン化が併発し生成物が複雑化した。一方、I_2との反応では脱スズ脱シリル化ヨウ素化により、1aからalpha-ヨードスチレンが得られた(30%)。
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