研究概要 |
1.保護基としての新規アリール基の開発 まずArLi(Ar=2,4,6-tri-t-butylphenyl)を従来法により合成し、種々のケイ素ハロゲン化合物との反応を試みた。SiCl4、HSiCl3、H2SiCl2との反応ではいずれもArHのみを与え、目的物であるArSiHnCl4-nは得られなかった。これは置換基の嵩高さから反応が起こらなかったためと考えられる。そこで次にGeCl4とArLiの反応を行ったところ分子内にゲルマニウムを有しArHよりも分子量の大きい化合物が得られた。現在今回購入した紫外分光検出器を用いたHPLCで分離しその同定を行なっている。 2.アミノシランを用いたかご状化合物の合成 本年はまず第1段階としてアミノシランの物性についてモデル化合物を合成して検討した。ジシラン[RSi(NEt)2]2(R=Me,Et,i-Pr,t-Bu,1,1,2-trimethylpropyl)をそれぞれ対応するクロロシランから合成し、その安定性、紫外吸収特性、酸化電位などを検討した。またR=1,1,2-trimethyl-propylのものについてはX線結晶解析を行ないその構造の特性を検討した。さらにCNDO/S-CIも行い物性の解析を行なった。またかご状化合物の原料となり得るジエチルアミノ基を有する4員環の合成も行ないX線結晶解析により構造を決定した。 3.チオシラン、チオゲルマンを経由した合成 脱硫反応の条件を検討するため、オクタシラキュバンと硫黄との反応を行なった。HPLCによる分離と再結晶によりオクタシラキュバンに硫黄原子が1つ挿入したと考えられる化合物が得られた。現在X線結晶構造解析を行なっている。
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