Na金属を蒸着してMgOはH>35という強い塩基性を示すことが知られているが、詳細な機構は不明な点が多い。本研究では、MgOの表面に生成するラジカル種の性質と塩基触媒反応活性の関係より、格子欠陥と超強塩基性の発現機構の関係を明らかにすることを目的とした。 Na/MgOの表面には2種類のラジカル種が観測された。低磁場側のラジカル種(シグナルA)は、不安定な表面のアニオン欠陥に電子が捕捉されたF-センターであると考えられた。高磁場側の異方性のあるシグナルは、Naの吸着によって生成した格子欠陥によるものと考えられ、強度が塩基触媒活性とは対応しないため、超強塩基性発現とは関係ないと結論した。この結果、欠陥数の計測が可能となった。 真空排気の温度を変えて、シグナルAの強度と塩基触媒活性の関係を調べたところ、いずれの排気温度でも塩基触媒活性が最大となるNa量は、シグナルAの強度が最大となるNa量の2倍程度であった。この結果、塩基触媒活性は格子欠陥に電子が2個捕捉されたときに最大となることを示している。 773Kで真空排気した場合、蒸着したNaの一部が表面の-OH基のプロトンと交換し、-ONaとなると考えられる。773Kで真空排気した場合、Na量が少ない領域では主にこの反応が進行していると考えられるが、触媒活性はあまり向上しないことからNa^-イオンだけでは超強塩基性は発現しないと言える。 以上の結果より、電子は配位不飽和度の高い不安定な酸素欠陥に捕捉され、Mg^<2+>およびO^<2->のイオン性を増加させると結論した。
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