研究課題/領域番号 |
05740439
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物質変換
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
池田 浩 東北大学, 理学部, 助手 (30211717)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1993年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | Cope転位 / 光誘起電子移動反応 / 有機光化学反応 / 反応機構 / ヘキサジエン / ジアゼン / ビラジカル / カチオンラジカル |
研究概要 |
本研究の主題である「カチオンラジカル環化-ビラジカル開裂機構」に対し物理化学的手法による検証を最初に行った。まずレーザーフラッシュフォトリシス法等により、鍵中間体の一つであるシクロヘキサ-1,4-ジイルカチオンラジカル2^+が光増感電子移動反応で生成している事を確認した。次に、光音響測熱法によりこの中間体のイオンペアの実験的なエネルギー評価を行ない、熱反応速度論と酸加還元電位から求めたエネルギーダイアグラムの裏付けをとった。 次に環状ジアゼン4を合成し、その電子移動反応を種々の条件下で行った。その結果、4は光誘起電子移動反応によってのみ定量的に1を与え、光を用いない電子移動条件ではプロトン脱離等のイオン反応を経てタ-フェニル等が生成することがわかった。また、d_4-4の光反応ではd_4-1とd_4-1'の2種を与えたが、その生成比52:48は2における開環課過程の速度重水素効果に対するDewarらの計算値と一致した。これらは、電子移動Cope転位の開環課程がカチオンラジカル2^+ではなくビラジカル2から起きている事を示す何よりの証拠で、上記機構の妥当性が示された。 またこれは、1の熱Cope転位機構としてDewarらが主張する段階的ラジカル機構のうち、少なくとも開環課程は妥当であることを示す結果で非常に興味深い。更にこの結果は、従来は抑制の対象でしかなかった増感剤アニオンラジカルからの逆電子移動過程が、電子移動Cope転位においては必要不可欠のものである事を示すもので、有機電子移動反応に重要な知見を与えた。 本研究では合成の検討のみに終わった3の反応も含め、今後はより汎い系へ展開し、電子移動Cope転位、さらには熱Cope転位の機構を明らかにしていく予定で、次年度以降の研究課題としたい。尚、研究進行状況と現有設備との関係から、設備備品として反応速度解析の為のコンピューターを購入した。
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