研究概要 |
1、酵母の高浸透圧応答性遺伝子の単離及び解析 出芽酵母よりディファレンシャルスクリーニング法を用いて高浸透圧応答性遺伝子のcDNAクローン7つ(HOR1-HOR7)を単離した。これらのクローン構造解析を行い、HOR1,HOR3,HOR4,HOR5,HOR6がそれぞれglycerol-3-phosphate dehidrogenase,glucokinase,hexose,transporter,HSP12,P-type A TPaseをコードしていることが明らかにした。HOR2,HOR7は、今まで報告されていない遺伝子であった。さらにHOR2遺伝子と構造の類似してはいるが恒常的に発現している遺伝子、RHR2が酵母にはあることがわかった。このことから、HOR2及びRHR2の産物は酵母の生育にとって重要な働きを担っていると考えられたが、これらの遺伝子の破壊株は特徴的な表現型を示さなかった。 様々な変異株のおけるこれらの7つのHOR遺伝子の発現様式を調べることで、情報伝達系路についてある程度示唆を得た。まず、高浸透圧応答には、いくつかの情報伝達経路があると予想された。また、いくつかの遺伝子はcAMPによっても制御されている可能性も示唆された。 2、高浸透圧応答に関与する情報伝達突然変異体の単離 単離した高浸透圧応答性遺伝子HOR2の発現調節領域を大腸菌由来のLacZ遺伝子に結合しレポーター遺伝子を構築した。このレポータ遺伝子は高浸透圧に応答した。このレポーター遺伝子を導入した酵母菌を用いて高浸透圧応答に異常の見られる突然変異株の分離を試みている。
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