アジュバンドとともに牛タイプIIコラーゲンを免疫することによりDBA/1Lac.Jマウスにリューマチ様関節炎を誘導し、タイプIIコラーゲンに特異的なT細胞クローンを樹立した。T細胞抗原レセプターのレパトアを調べたところ、alpha鎖、beta鎖ともに限られたV領域を用いていることが明らかになった。即ち、alpha鎖はValpha11、8、22の3種のVセグメントしJalpha42、24、37、32の4つのJセグメントを使用し、beta鎖ではVbeta8、1、6の3種が用いられ、特にVbeta8.2が優先的に使用されている(58.3%)。さらに、Vbeta8.2に対する抗体を用いることにより関節炎の発症を押さえることができた(60%の減少)。このように、特定の自己免疫病において限られたレパトアが自己反応性に関与する系では、特定のValpha、Vbetaを操作することにより自己免疫病を治療できる可能性を示した。 さらにヌードマウスにCD4陽性細胞の一部(CD25陰性細胞)を導入することにより、胃炎や卵巣炎等の自己免疫病の発症を誘導できることを見出した。これらの炎症部位におけるT細胞のT細胞抗原レセプターのレパトアをT細胞クローンを用いずに解析出来るような解析システムを確立するため、単一細胞からRT-PCRによってmRNAを解析する糸を開発した。現在、この方法により自己反応性T細胞の抗原レセプターのレパトアについてさらに解析を行っている。
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