研究概要 |
本研究は合成オーキシン阻害剤と競合することが知られまた根粒菌の持つ根粒形成遺伝子(nod)を活性化する植物フラボノイドを用いて疑似根粒を形成させ、根粒菌が感染して形成する根粒と比較することで根粒形成のときに植物が分泌するフラボノイドの根粒菌を通じての役割を考察するのが目的である。 1.疑似根粒の形成実験:材料としては次の通りである。フラボノイド;(1)ナリンゲニン(エンドウ由来)、(2)ルテオリン(アルファルファ由来)、(3)ダイゼイン(ダイズ由来)、(4)7,4'-ジヒドロキシフラボン(ホワイトクローバー由来)、植物;(1)ホワイトクローバー、(2)アルファルファである。各フラボノイドを窒素フリーの寒天培地に混ぜ、そこに各植物の芽生えを置き、人工気象器(16h;明期《20,000Lux》、8h;暗期、20℃)で培養した。4週間後、ホワイトクローバーと7,4'-ジヒドロキシフラボン及びナリンゲニンの組み合わせのみ疑似根粒が形成された。 2.疑似根粒の形態学的知見:(1)実体顕微鏡観察;根毛の両側が膨れてくる根粒様構造体が観察された。この形態は2,4-D存在下で形成されることが報告されている根粒様構造体とよく類似していた。(2)切片による組織観察;疑似根粒をエポキシ樹脂に包理し、ミクロトームで切片を作成しメチレンブルーで染色して位相差顕微鏡で観察した。疑似根粒は中心組織にアミロプラストが多数存在し、維管束組織は先端まで到達していないことが観察された。 3.疑似根粒の生化学的知見:現在、ノジュリンの一つであるENOD2の抗体を取るための準備をしている。これを用いて組織内でのENOD2の局在を調べる予定である。
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