研究概要 |
本研究では、主にGaAsおよびGaP基板上に有機金属気相成長法により成長したCuAlSe2エビタキシャル層のフォトリフレクタンス(PR)法による評価を行った。得られた結果は次の通りである。 1)化学両論的組成とバンドギャップ(E_g)との関係を調べた。III-VI比を変化させた場合、III族組成の低下に対してE_gは大きく低下する。また、I族組成に対してIII族組成を増加させてもE_gは低下する。 2)GaAs基板上に成長したCuAlSe_2に対し、膜厚に対するE_g、価電子帯の結晶場分裂エネルギー(△_<of>)、スピン軌道相互作用エネルギー(△_<so>)を調べた。膜厚減少に伴いE_gは低下-△_<of>は増加を示したが△_<so>は変化を示さなかった。また、△_<of>は膜厚増加に伴いバルクCuAlSe_2の値に近づいた。この結果は、CuAlSe_2に二軸性の引っ張り歪の存在とエピ膜厚増加に伴う格子の緩和を示している。モデル計算との比較より、実験で用いた最小の膜厚(0.2mum)において殆どの歪が緩和されており、結果は計算で推定された臨界膜厚(0.1mum)により良く説明された。 3)PRスペクトルにおけるブロードニングパラメータはエピ層の結晶性を大きく反映しており、これを用いた結晶性の評価手法を確立した。 4)PRスペクトルの偏光依存性より、CuAlSe_2エピ層の配向性の評価技術を確立した。また、GaP基板上に成長したCuAlSe_2におけるオリエンテーションドメインの存在を示した。 5)本研究を他のヘテロ接合(CuGaSe_2/GaAs,CuGaSe_2/GaP、CuGaS_2/GaAs,CuGaS_2/GaP等)に対して試み、初期的な結果を得た。 以上の結果より、PR方法がI-III-VI_2族カルコパイライト化合物のヘテロ接合評価に対して非常に効果的な評価方法であることがわかった。
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