研究概要 |
本研究では時空間に関する複素振幅ゆらぎの相互相関とスペクトルを得る方法として,光ヘテロダイン検出法を利用した相関処理システムを構成することを目的とし,その動作確認のための基礎実験行った. 光ヘテロダイン検出法により,物体の屈折率,吸収係数,反射係数ならびに形状などの物理的性状を反映している光波複素振幅を電気信号に変換して得られ,得られた電気信号をコンピュータに取り込み相関処理を行うことが可能であることを確かめた. さらに,この手法を用いて光ディスク基板の複素透過率についてその統計的性状を調べ,光ディスク基板の評価を行い,相関処理システムの有効性を確かめた. 光ディスク基板は一様性が保たれるように製造されるが,その厚みや材料の密度にゆらぎが存在する.これらのゆらぎを評価するためには,非接触な光学的手法を用いることが有利である.光学的手法により試料の厚さおよび屈折率を含む光学的厚みを測定することが出来る.しかしながら,従来の干渉縞を用いた手法では基板の微細な光学的厚みの不規則性を計測することはできない. そこで,本研究において開発した手法を用いて,光の波長に較べ十分小さい光学的厚みのゆらぎ(lambda/100程度,lambda:光の波長)を評価するためのシステムを構成し,光ディスク基板について評価を行った.本研究により微細な光学的厚みの計測が可能となり,相関処理により,光学的厚みゆらぎについて相関関数,パワースペクトル,確率密度関数,分散などの統計量を求めて,基板の光学的厚みの不規則性を定量的に評価することができた.
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