研究概要 |
知的構造とはセンサ機能を備え、自ら判断しアクチュエータ機能で外力などに対応する構造である.この概念によれば構造の能動的に微小な変形を制御することが期待される.精密な変形制御する場合,従来のセンサおよびアクチュエータでは構造の重量増加につながり好ましくないことが多い.そこで特別な装置を付加することなく,気体あるいは液体の内圧で変形を感知し,変形を制御する知的構造を開発することを前提として,本研究においてはその基礎的な特性を明らかにすることを目的とした. 端部が閉じられたアクリル製の円筒に空気あるいは水を満たしたモデルにより実験を行い,その基本的な挙動を明らかにした.水あるいは空気に内圧を加え,円筒の軸方向のひずみを測定した.このとき円筒の半径方向の変形を考慮すれば、実験結果は弾性理論より得られる理論値とよく一致することがわかった.この結果,内圧を利用すれば極めて微小な変形を安定して得られることがわかった.また円筒を軸方向に変形させることにより内圧の変化を測定した.わずかな圧力変化であるが変形状態を検知できることがわかった.特に変形させる前の初期圧力が高いほど,その感度は向上した.したがって特別な装置を取付けることなく内圧により知的構造を構成することのできる可能性を見いだした. 一般にセンサおよびアクチュエータを構造に埋没するとき、構造との連成変形を考慮しなければ所要のセンサあるいはアクチュエータ機能を得ることができない.そこで積層はり理論を用いてはり状の知的構造の仕様を決定するための数学モデルを提案した.これにより構造およびセンサ・アクチュエータの材質から効率的な機能を得るための形状および埋没位置を得ることのできる図表を作成し,効率的な知的構造を簡便に設計することが可能となった.
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