研究概要 |
最近の超高強度炭素繊維の開発によってCFRPが一次構造に適用が拡大され,さらに高靱性樹脂の開発によって衝撃後圧縮強度が上昇し,CFRP構造物の疲労強度に関しても注目されるようになってきた.このような背景から,近年JISにおいても疲労試験方法の規格化が実施されており,また一方向材の疲労のマイクロメカニズムの研究も実施されている.そこで,本研究では,超高強度炭素繊維MR-40を用いたCFRP一方向材の引張-引張疲労試験をJISの試験法案に準拠して実施し,その疲労のマイクロメカニズムを検討すると同時に,JIS試験法案についても検討し,その問題点を明らかにした.さらに,損傷のフラクタル性に着目して,従来のJISの試験片の破壊メカニズムを検討した.得られた結果は以下のとおりである. (1)JIS案に準拠した手法では,タブ部での応力集中に起因して繊維破断が生じる遂次損傷進展が疲労破壊に原因である. (2)応力集中のない試験では,疲労損傷は生じない. (3)JIS案に準拠した場合,過剰安全側の評価を与える. (4)JIS案の試験片では繊維損傷のフラクタル性に起因して疲労損傷の臨界応力が存在する.
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