研究概要 |
1.モードII層間き裂進展試験として,端面切欠き曲げ(ENF)試験および端面負荷割れ(ELS)試験を行い,境界要素解析によりき裂長さとモードII応力拡大係数K_<II>の関係を定式化した.解析ではなくはく離部上下面に同じ大きさの強制変位を与えることで,はり離面の接触解析を行わずに充分な精度の解が得られることが確認された. 2.応力比(最小荷重/最大荷重)が負の条件での疲労き裂進展試験のために試験治具を試作し,有効な疲労試験データを得た. 3.モードII応力拡大係数範囲△K_<II>一定条件下では,き裂進展速度がき裂進展量に依らず一定となり,モードIの場合のような進展速度の低下挙動は認められなかった. 4.応力比-1.0〜0.6の範囲のそれぞれの応力比に対し,き裂進展速度10^<-9>m/cycle以上において,き裂進展速度はモードII応力拡大係数範囲△K_<II>のべき乗で表された.同じ△K_<II>で比較すると,応力比が大きい方が高い進展速度を示した. 5.き裂進展速度10^<-9>m/cycle以下では上述のべき乗関係より進展速度の低下が見られ,き裂進展の下限界が存在した.下限界での応力拡大係数範囲は応力比に依存せず,応力比-1.0〜0.6の範囲で一定値をとった. 6.一種類の応力比に対する疲労試験データから任意応力比でのき裂進展挙動を予測する手法を提案した.本手法による予測は,幅広い応力比の範囲で実験結果とよく一致し簡便評価法として有効である.また,本評価法より,応力比0.7以上では疲労き裂が進展しないことが予測された.
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