研究概要 |
加熱時のサンプル表面温度分のサーモグラフィ計測結果をもとに,材料中の欠陥損傷を非破壊計測するサーモグラフィックNDTにおいて,温度分布データから欠陥・損傷を同定するプロセスにニューラルネットワークを支援技術として導入することにより,サーモグラフィックNDTを知能化し,欠陥同定精度を向上させた、得られた研究成果を以下に示す. はく離欠陥を有する複合材料サンプルの温度分布データから,はく離欠陥・損傷を同定するニューラルネットワーク逆問題解折法を開発した. (1)加熱方法,サンプルの熱的物性値.欠陥・損傷の形態や程度による温度分布の変化を,数値解析的および実験的に検討し,ニューラルネットワークによる欠陥損傷同定に最適な学習および入力データの検討を行った. (2)ニューラルネットワークに欠陥による温度分布,および欠陥以外の原因で生じた疑似的温度変化を学習させることにより,これまでのデータ処理では困難ではあった欠陥と外乱信号の識別を行った.様々な寸法のはく離欠陥を有するジルコニア被膜材サンプルを用いた実験を行った結果,はく離欠陥による温度変化領域を,放射率の違いあるいは加熱冷却むらなどにより生じた疑似的温度変化領域と識別することが可能であり,本手法の有用性が明らかになった. (3)上記過程により識別されたはく離欠陥による温度変化領域に対し,欠陥の深さおよび寸法の同定などの定量評価を行う問題にニューラルネットワークを適用した.積層複合材料中に存在する層間はく離欠陥評価に関する数値シミュレーションを行った結果,種々の欠陥に対する温度分布をあらかじめ学習させたニューラルネットワークを用いて,欠陥の深さおよび寸法の同定が可能であった.さらに複数層にわたるはく離欠陥の定量評価も可能であった.
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