研究概要 |
(1)実験的研究 本研究の目的は、高温耐熱合金として注目れているTi-Al系の金属間化合物を取り上げ、メカニカルアロイング(MA)を行い、反応焼結させたものと溶製材との機械的性質を測定することにより比較し、評価することである。具体的にはTi_X-Al_<100-X>(X=15,25,35,50,75,85at%)の種々の混合比で500時間までボールミルによりMA処理し、MA後の粉末につき形状の変化、結晶構造の変化および熱分析を走査型電子顕微鏡、X線回折および示差走査熱量計を用いて解析した。その結果Ti_<50>Al_<50>組成ではアモルファス単相、Ti_<253>Al_<75>ではアモルファス相、Ti、TiAlを含むAl固溶体そしてTi_<75>Al_<25>では少量のアモルファス相を含むTiの固溶体が認められた。 固化成形実験では5年度の科学研究費補助金により管状炉および温度制御装置を購入し、既存のアムスラ-型試験機に取り付け押し出し装置を試作し、所定時間MA処理した粉末につき熱間押し出し実験を行った。その結果、加熱中に粉末がダイスの中で酸化したため、得られた試料は金属間化合物相のほかTiおよびAlの酸化物が混在した組織となることが判明した。 長時間MAした焼結体の機械的性質はTi_X-Al_<100-X>(X=25,50,75at%)の3組成において理論密度の99%以上の値を示し、硬さは溶製材のそれより1.5-2.5倍程度高くなった。ただしTi_<25>Al_<75>組成では200時間から500時間のMAにおいて硬さおよび密度の低下が見られた。これはアモルファス相の減少に対応することが判明した。 (2)理論的研究 透過型電子顕微鏡観察より良好に焼結した試料の結晶粒径は0.05から0.2となっており大変微細で均一な組織となていることが判明した。 以上のことより金属間化合物の新しい成形法としてMA法が有効であることを確認した。
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