集積回路(LSI)製造プロセスにおいて回路形状の形成に用いられている反応性イオンエッチング(RIE)技術を応用して、微細構造部品(マイクロマシン)の形状形成を行う試みがあるが、RIEの加工原理では、形状形成時にマスクとなるレジスト材も同時にエッチングがなされるため、LSI製造に一般的に用いられている有機系レジスト材を使用した場合、深溝形状の形成は困難である。そこで、本研究では、金属系レジスト材を用いることでその問題を解決することを試みた。そして、RIEにおける金属系レジスト材とエッチング条件および仕上がり形状との間の関係を実験的に明らかにした。 本研究では、以下のことを明らかにした。 (1)金属薄膜レジストとしてAl、Ni薄膜を具体的対象を選択し、有機系レジスト材を加えた3種類について、耐エッチング性の検討を行った。その結果、金属レジスト材は、有機系のものと比較して、耐エッチング性は20倍以上との結果が得られた。またAlとNiの比較では、Niの方が耐エッチング性は優れていた。これは、Niの方が融点が高いことによるものと考えられる。 (2)(1)の結果をもとに、金属系レジスト材を用いたRIEを行ったところ、有機系のそれを使った場合と比較して、深いエッチングが可能となり、また、異方性の高い形状の創成も可能となった。すなわち、金属系レジスト材を用いることによって、微細構造部品のための形状創成にRIEが有効となることが確認された。 (3)エッチング条件と仕上がり形状の関係は、有機系レジスト材を用いた場合の結果を、傾向として、そのままほぼ適応が可能であることを明らかにした。ただし、金属レジスト材を成分とする重合物の堆積が生じてしまう欠点があることが明らかとなり、金属系レジスト材を用いる場合、この問題を解決しなければならない。
|