研究概要 |
流体機械におけるエネルギー損失の低減化および振動・騒音の抑制を目的として、音響励起による流体振動の制御を試みるために、まず、物体まわりの流れパターンをキャビテーション気泡法により可視化して最高記録速度40,500コマ毎秒のハイスピードビデオカメラ等により、水中噴射流やバタフライ弁・翼形まわりの流れを詳細に観察し、また、翼形まわりの流れについては数値シュミレーションも行って流れパターンを把握し、次に、水中に種々の音波を発信して流れパターンの変化を観察した。その結果、以下のようなことが明らかになった。 1.キャビテーションを伴う高速水中水噴流では、高壊食性キャビテーション気泡雲が周期的に放出され、その放出周波数は吐出し圧力が大きくなるほど小さくなり、その周波数は数kHzのオーダである。バタフライ弁のまわりの高壊食性渦キャビテーションは、バタフライ弁から周期的に放出される渦キャビテーションが数多く合体して生じる。翼形まわりの揚力・抗力変動は、翼型背面に生ずる渦流れに起因し、抗力の大きさおよびその非定常特性は、特に後縁形状に依存している。 2.水中音波発生装置を用いて水中に音波を発信し、発信源から1mの位置で最大約130dBの音圧を得ることができることを確認した。特別に加工した水中音波反射板を用いて、約20cm離れた位置に音波を集中すると、最大215dBの音圧が得られるが、なお、発信源に超小型水中マイクロホンを使用しているために、音圧が発信周波数に依存する。 3.高速水中水噴流を種々の波形を持つ種々の周波数により励起したところ、気泡雲の放出周波数と同オーダの水中音波を発信すると、気泡雲の放出周波数が励起した音波の周波数に影響される。
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