流動性に富む液体磁石となる磁性流体と気体または非磁性微粒子から構成される気液または固液二相流を利用して、流れ場内部での気液あるいは固液界面で生じる反磁界現象、すなわち磁力線の屈折現象を利用して磁性流体高速二相流により、管壁に巻かれた誘導コイルを貫く磁束に時間的な変化を生じさせることにより起電力が発生する。本研究の目的は以上の原理に基づくエネルギー変換(直接発電)の可能性について検討することにある。 本研究により得られた成果の概要は以下の通りである。まず磁性流体循環式管内流を実現させるための円管、ポンプ、コイルと永久磁石などからなる。簡素な実験装置を作成した。本方法ではコイル方向に有効な磁束の時間変化をさせることが特に重要であり、本装置では、気泡注入の方法により間欠式二相流すなわちスラグ流的な気液二相流を実現させる方法により発電を行う。この装置によりわずかではあるが確かに発電が行えた。誘導コイルに発生する起電力は微小電圧計により測定した。発生する起電力は時間的にランダムに変動する波形になったが整流器により直流成分を取り出すことは容易である。起電力は界面の移動速度に依存し高速二相流を実現させることが特に重要であることがわかった。さらに磁場作用下での磁性流体気液二相流、特に磁性流体界面での磁力線の屈折、流れ場に関して、理論的検討を行い、起電力向上のための幾つかの条件を得たが、その実験的検証は今後の検討課題である。
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