研究概要 |
本研究では、上面に太陽熱吸収板を有する多段のウィック型蒸留器(図1)用、蒸発用ウィック/テフロンネット/凝縮用ウィック/金属板の積層の蒸留ユニット(図2)を考案した。テフロンネットの挿入により、従来厚さ10mm以上もあった気相の層を2mmに薄くし、かつ蒸発ウィックの海水が凝縮ウィック中の蒸留水に混入するのを防いだ。実験で得られた蒸留水中の塩分濃度の測定値は10ppm以下であり、一般の水道水の濃度をはるかに下回った。 理論解析および室内定常実験により、単一の蒸留ユニットの蒸留効率と伝熱抵抗を求めた。蒸留効率はテフロンネット型が従来のものより1〜2割低下するが、温度が低い場合の伝熱抵抗は、10割以上も改良されることが明らかになった。得られた効率および伝熱抵抗の結果を用いて、蒸留ユニットを多数重ねた蒸留器(図1)の性能を予測した。その結果テフロンネット蒸留器は、従来のものよりコンパクトになり、かつ60%の蒸留収量の増加を示した。 本研究結果は、日本太陽エネルギー学会・日本風力エネルギー協会合同研究発表会・筑波・1993年12月において発表した。現在、Trans.ASME,Solar Energyに投稿中である。
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