研究概要 |
六角形ハニカムサンドイッチ構造の断熱壁が鉛直に置かれた場合における多孔質材による伝熱抑止の効果について、実験および数値解析を行ない検討した。本研究では、鉛直多孔質層を仕切るハニカムコアが多数連なっている場合を考え、それらのうちのひとつのハニカムコアの空間内でのふく射および対流熱伝達を対象とした。すなわち、六角形ハニカムコアの内部が多孔質で充たされている場合の数値解析を行なうと同時に、六角形断面を持つ箱の中に球状粒子を充填してその伝熱量を測定する実験を行ない、数値解析との比較検討を試みた。実験は、ハニカムコアの形状比は固定し、充填粒子の径を変えて、平板直接法(JIS A1413)に基づいて伝熱量測定を測定した。。 〈数値解析〉 ふく射伝熱量が無視できるとした場合について数値解析を行ない、ハニカムコアの熱的境界条件が対流伝熱に及ぼす影響について考察した結果を論文“Three-Dimensional Natural Convection in a Vertical Porous Layer with Hexagonal Honeycomb Core of Negligible Thickness"(Int.J.Heat Mass Transfer,vol.36,No.13,1993-9)に発表した。 ふく射伝熱を考慮した場合については、ふく射の伝播をRosselandの近似で扱って解析を行なった。更に壁面近傍での多孔質の不均一の効果を考慮した解析を行なったが、計算に時間がかかるうえパラメータが多く、年度内に結果をまとめることが出来なかった。現在、計算を続行中である。 〈伝熱実験〉 実験の安全性とコストの面からハニカムコアの大きさを、平径80mmの正六角形×対向壁の距離80mmとし、対向壁間の温度差の最大を80℃として実験装置を設計、製作した。ハニカムコアの内部に平均直径6mmの発泡スチロールの球を充填して、温度差を変えて伝熱量を測定した。ただしこの場合のDarcy-Ralyleigh数はおよそ10にしかならず、ほとんど対流が生じない。そこで、充填する多孔質を浸透性の大きい材料に変えて実験を行なったが、自然対流の伝熱実験は非常に時間がかかるため、年度内に結果をまとめることが出来なかった。現在、実験を続行中である。
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