ルームエアコンなどの作動流体として使用されていながら、2020年を目標として廃止が検討されているHCFC-22の代替物質は、現在、世界各国で研究および開発が競って行われている。本研究では、HCFC-22の代替物質として、オゾン層に影響を与えないHFC系冷媒を成分とした混合冷媒およびいくつかのHFC系冷媒単体を代替物質候補として選定し、それらをHCFC-22の代替物質として将来エアコンなどの作動流体として用いる際に、必要不可欠な熱力学性質(特に飽和蒸気圧)に関して検討および測定を行った。 混合冷媒に関しては、研究者によって既に公表されているフロン系冷媒の飽和蒸気圧に関する混合則をHFC系冷媒に適応させて、作動流体としてHCFC-22の代替物質となり得る混合冷媒の種類およびその混合組成を具体的に明らかにし、その成果を公表した。 また、HFC系冷媒単体に関しては、等容法を用いた新たな飽和蒸気圧およびPVT性質測定装置を設計・製作し、将来必要とされる無公害フロンの熱力学性質を明らかにした。具体的には、冷凍機およびエアコンの作動流体としてHFC系冷媒を用いる際に必要となる、温度250K〜臨界温度(338K)までの領域における飽和蒸気圧の測定を行った。すなわち、HCFC-22の代替物質の一つとして提案されているHFC-125については約5K毎に飽和蒸気圧の測定を行い、計32点の実測値を得ることができた。今後さらに測定を重ね、もう一つの代替物質候補として注目されているHFC-32の測定結果とともに研究成果を公表する予定である。
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