モード解析で簡易的に伝達関数を得る方法として、インパルスハンマーによる打撃振動実験がある。この方法では、通常Force&Responseウィンドウと呼ばれる窓関数を使用している。この窓関数は、入力側と出力側で異なる窓関数を用いているため、計測により得られた伝達関数は、窓関数の影響を受け正しい伝達関数が得られないことは容易に推測される。本研究では、通常用いられるこの窓関数の影響を調べることと、新しく窓関数を提案することを行ない、以下のことが明らかになった。 計測開始時間からトリガーまでの時間が長くなればなるほど、窓関数の影響は大きくなり、モードパラメーターのうちモード質量とモード剛性が大きくなることを示した。また従来このような問題が大きく取り上げられなかった理由は、実際の計測で重要視されるのはこれらの比であるところの固有振動数とモード形であるためと考えられる。しかし計測精度が飛躍的に向上している現在では、このような影響は無視できないと考えられる。 そこで本研究では、このような従来の窓関数の影響を避けるために、以下のような新しい窓関数を提案した。 wi(t)= e^<-betat>(0≦t≦tq)-----(1) 0(tq≦t≦to) wo(t)=e^<-betat>-----(2) ここで(1)式は入力側の窓関数、(2)式は出力側の窓関数を表す。この窓関数を使用することにより、計測される伝達関数は、窓関数の影響を受けない正しい伝達関数が得られることを示した。
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