大型トラックによる長距離、長時間輸送の増大、高速道路利用率の増加に伴い、ドライバーの要望として信頼性、耐久性の向上やキャブ内の居住性、快適性の向上、運転疲労の軽減などの声が強い。 大型トラックの運転席は通常キャビン床面上にばね、ショックアブソ-バを用いたパッシブサスペンションによって支持されている。これによって床面の4〜6Hz付近の振動は効果的に絶縁されるが、2〜3Hz付近の振動が大きくなってしまう。そこで、運転者の乗り心地を改善するためには、2〜3Hz付近の伝達率を下げる必要がある。また、乗り心地と操作性は相互に影響するので単独に扱うことはできない。 そこで本研究では、従来のパッシブサスペンシュンと並列にDCサーボモータによるアクチュエータを装着して、アクティブ制御を行なった場合の効果を、シミュレーションと実験によって検証した。さらに実験では、操作性の検証のため運転装置(ハンドル、ペダル等)を取付けた。トラックシートの力学モデルは、2自由度系とした。制御系は、クッション上面、シートフレームおよび床面の加速度を検出して、これらを積分して得られる速度と変位をフィードバックおよびフィードフォワードすることによって構成した。床面振動のモデルは、大型トラックが首都高速道路を走行したときのキャビン床面振動の実測データから2次系近似によって作成し、このモデルをシートのモデルを含めた拡大システムについて最適制御理論およびH^<○○>制御理論を適用して、制御ゲインを決定した。その結果、次のような結論が得られた。 (1)最適制御、H^<○○>制御において2〜3Hz付近の振動の伝達率を下げて乗り心地を改善することができた。また、入力外乱に対するロバスト性に関しても問題がないことが確認された。 (2)最適制御、H^<○○>制御において、パッシブよりも2〜3Hzの振動の伝達率を下げて、なお操作性をある程度確保することができた。
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