X-Yテーブルやロボットマニピュレータなどの経路制御においては、各軸独立に制御されることが多い。しかしこれは各軸毎の位置決め制御の結果として経路制御が得られるのであって、本質的に経路誤差を小さくしようとして経路制御を行っているわけではない。このため、位置決め誤差は小さいのに経路誤差が大きくなってしまう場合も少なくない。 本質的に良好な経路制御を行うためには、経路目標値と経路との誤差の面積を小さくすればよいと考えられる。そこで本研究では現在目標値と1ステップ前の目標値および現在の位置で囲まれた面積誤差を定義して、この面積誤差の現在から未来までの総和を最小にすることを考えた。具体的にこの面積誤差を最小にする制御を実現するために本研究ではX軸制御系の誤差をみて、この面積誤差を最小にするようなY軸制御系の仮想目標値を与える予見協調経路制御法を提案した。 そしてこの理論を実験的に確かめるために今年度、コアレスのDCブラシレス方式のリニアモータを十字型に組み合わせたリニアX-Yテーブルを試作した。そしてこのリニアX-Yテーブルは上軸と下軸の特性が大幅に異なるため、各軸独立な制御では制御系の構成によっては経路誤差を生じ易いことをシミュレーションおよび実験により確認した。そしてさらにこのリニアX-Yテーブルに対する予見協調経路制御系を構成し、各軸独立な制御で大きな経路誤差を生じた場合でも、予見協調制御を用いると経路応答が大幅に改善されることを確認した。 今後はこの予見協調経路制御を3軸の場合に拡張し、ロボットマニピュレータの経路制御などへの応用を検討する予定である。
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