研究概要 |
一般に、生物の運動は自律的かつ高機能、高効率であることから、生物の運動機構を模倣したロボットの研究は、工学的に極めて有意義であると考えられる。ここで、生物の水中運動に関しては、大体がヒレによる往復運動や体全体を使っての屈曲運動という形態によって実現されている。 この観点より本研究では水中を屈曲運動により推進する生物に着目、その運動形態を工学的に再現するため、柔軟かつ連続的な生物の屈曲波形を離散化した要素構成に置き換え、多リンク機構で構成することを想定した「多リンク模倣モデル」を提案した。これより、精子などの真核生物のべん毛運動や水ヘビの屈曲運動を模倣した多リンク模倣モデルの屈曲推進運動に関する数学モデルの構築を行い、推進力,推進速度に関するシミュレーション解析を行った。これと平行して、水ヘビの屈曲運動を模倣した、ステッピングモータをアクチュエータとする多リンク模倣モデルを開発し、計測・制御システムの構築および付随する水槽等の製作を行い、同モデルの推進力を測定した。この測定結果とシミュレーション解析結果を比較し、検討を行った。更に、人工的な屈曲波の形成として、遺伝的アルゴリズムを応用した、推進力,推進測度に関して最適な屈曲波形探索のシミュレーションを行うための基礎を検討した。以上より、水中で動作するロボット開発のための基礎的資料の一部を提示することができた。
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