研究概要 |
圧電素子の急速変形を利用した微小移動機構を駆動装置に用いた圧電マイクロマニピュレータの振動制御に関する検討を行った。圧電素子の急速変形を利用した微小移動機構を用いた細胞操作用マイクロマニピュレータには既存の油圧マイクロマニピュレータと比べて下記のような優れた点がある。 (1)位置決め分解能が優れている(最小0.18mum) (2)圧電素子の急速変形を利用した微小移動機構が発生する衝撃力により、弾性力のある細胞膜に微細器具を非常にスムーズに挿入することができる。 (3)電気的制御が可能なので自動化に適している。 (4)保持に特別な機構が不要である。 しかし、大型の卵細胞などを用いた顕微授精などの場合は(2)の衝撃力が非常に有効に作用するが,小型の細胞や細胞内前核へのインジェクションの際には,その衝撃力が操作の妨げになる場合があった。今回,その衝撃力で発生する振動を制御する目的で下記の改善を試み,実験装置を試作した。 [1]圧電素子駆動回路改良 [2]圧電素子取り付け位置変更 [3]ER流体を用いた防振機構の設計 [4]圧電素子取り付け個数の変更+印加電圧タイミング制御 上記対策の結果,圧電素子への印加電流の立ち上ゲ速度の制御,マイクロピペットホルダー中心位置への圧電素子の取り付けなどが振動除去に有効であることが判明した。
|