非平衡プラズマは、電子エネルギーのみが非常に高く他の中性粒子やイオン等が常温に近いという特性を有するため、容易にガラス容器や金属チャンバに閉じ込めることができる一方、プラズマ内で電子衝突を通して種々の反応を誘起することができる。このため半導体製造プロセスをはじめとする多くの分野で応用されつつある。本研究はそうした応用を促進すべく、弱電離非平衡プラズマを特徴づける電子エネルギー分布やプラズマパラメータ(スオームパラメータ)を高速並列演算プロセッサを用いたシミュレーション解析により算出しようとするものである。今年度の研究成果は以下のとおりである。 (1)超高速アクセラレータボードをPC98系のパーソナルコンピュータに接続し、高速並列演算処理ハードウエアシステムを構成した。(2)種々のテストプログラムの他、これまでに作成したボルツマン方程式解析の基本プログラムをこのシステム上で実行させ、通常のパーソナルコンピュータの100倍以上、大型計算機システムと同レベルの高速演算が可能であることを確認した。(3)このシステム上でのモンテカルロ法による計算に先立ち、N_2ガス中での電子スオームの到着時間分布解析をボルツマン方程式を用いて行った。これは、電子スオームの発達モデルに対する実際の実験観測法に直接対応する理論解析であり、これにより、モンテカルロシミュレーションにおけるサンプリング法の基本的指針等を得た。(4)(3)での解析をモンテカルロ法によっても容易に実現し得るよう既存のプログラムを修正・改良し、上記システム上で稼動させた。現在、さらに不平等電界条件を組み入れたものになるよう改良を進めている。
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