研究概要 |
種々のプラスチック材料(ポリエチレン:PE,塩ビ:PVC,テフロン:PTFE,ポリプロピレン:PP,アクリル:PMMA,ジュラコン:POM,ナイロン:PA,ABS樹脂:ABS)のチューブ内に点弧させた大気圧アーク陽光柱の電界の強さを,2〜500Aの電流領域において計測した。30〜500Aの大電流を得るために,コンデンサ電源を作製した。チューブ孔径は2,4,6mmphi,チューブ長は10〜30mmとした。その結果,以下のことがわかった。電界の強さは、電流の増大とともに,一旦低下するが,その後上昇する。停電流領域(2〜30A)における電界の強さには,チューブ材料依存性があり,PE,PP,PA,ABS,POM,およびPMMAアークが高く,PTFEが最も低く,PVCがそれらの中間に位置する。大電流(50A以上)になるほど,電界の強さのチューブ材料依存性が小さくなる。 一方,電界の強さの結果を検討するために,チューブの内壁からアークの熱によって溶発する損耗量および溶発ガス量を計測した。その結果,以下のことがわかった。チューブ損耗量と電界の強さとの間には明白な相関性は無いが,溶発ガス量と電界の強さとの間には強い相関性が見られる。すなわち,低電流領域では,各チューブの溶発ガス量と電界の強さとの間に正の相関があり,電流が大きいほどその傾きが急となる。大電流領域では,溶発ガス量と電界の強さとの関係はチューブ材料や電流値に依らず,ほぼ1本の直線に乗る。 以上のように,本研究において,大電流領域におけるプラスチック溶発アークの電界の強さを実験的に求め,更に,この種のアークにおいては溶発ガス量が電界の強さを決定する重要な要因であることを明らかにした。
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