粉体の空気輸送における帯電現象については、主として管壁との摩擦により粉体が帯電されることは以前から知られているが、その詳細な機構や管壁への付着については不明の部分が多い。本研究では傾斜したパイプ中を粉体が輸送されることによる粉体の帯電電荷量と管壁の表面電位分布と関係について測定した。特に管壁に粉体が付着した状況とその影響による帯電量の変化を検討するために、管路の一部に付着粉体を模擬する高分子シートを付着して帯電による電位分布を調べた。内径25mm、長さ1m〜2mのパイプ(ステンレス、アクリル)に粉体としてガラスビーズ等の粒子をホッパーから供給し、粉体の帯電量はファラデーケージで、電位分布は表面電位計で測定した。 その結果、管路の帯電による極性と粉体の帯電極性は常に反対に現れる。粒子径が小さくなると帯電分布は複雑になり、管路内が両極性に帯電している場合も存在する。その様な両極性帯電部分では粉体の管壁への付着が見られた。また、輸送速度が速くなると帯電電位も高くなる。管路の長さ方向の分布では粉体の供給点の電位が最も高く、ある程度輸送されて輸送状態が均一化したところからは電位が一様になってくる。輸送管の材質による影響は、ステンレスパイプなど金属性のもののほうがプラスチック製パイプに比べ帯電量は少ない。また帯電機構としては、供給点付近はホッパーから供給される粒子と管壁との衝突帯電であり、それ以外の部分では接触摩擦帯電による影響が大きいと考えられる。さらに湿度依存性が大きく、雰囲気を高湿にすることで帯電が抑えられる。
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