研究概要 |
本研究の遂行の中で得られた結果の概要を以下に述べる。 1.透磁率の温度依存性はホプキンソン効果としてよく知られているが,解析対象のホプキンソン効果を入手することは極めて困難であった。そこで,独自に測定装置の開発を行った。本装置は石英ガラス管中に環状試料を置き,真空状態で赤外線ヒ-タにより試料を加熱し,熱電対による温度測定とともに,一次および二次コイル(白金線)の出力をB-Hアナライザーに入力し透磁率の温度依存性を測定するものである。測定装置の詳細並びに測定結果は“Numerical Analysis of High-frequency Induction Heating Including Temperature depcndence of Material Characteristics,"IEEE Transactions on Magnetics(Vol.30,1994)に掲載予定である。 2.熱・電磁界達成解析手法の開発の検討の中で,境界要素法を用いた線形解析手法を開発し“高周波誘導加熱装置の最適化の検討"(日本シミューレーション学会第14回シンポジウム論文集,I-13,P91,1993)を報告した。本手法では,外部電源回路を考慮した磁場解析を行うことで,加熱効率等の数値解析を可能にした。 3.軸対称有限要素を用いた温度非線形性を考慮した解析手法を開発し,上記1に示した論文を報告した。本論文では高温領域でのホプキンソン効果の影響が磁束分布に顕著に現れることを示し,ホプキソン効果の考慮が高周波誘導加熱問題において重要であることを指摘した。 4.本研究の最終目的である三次元場の熱・電磁界連成解析手法のプログラムは完成しており,電縫管ERW解析に適用し良好な結果を得ている。本成果は本年6月に開催予定の国際会議(ISEM-Seoul)にて発表予定である。
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