1.プラズマ生成過程のモデリングとシミュレーション 平行平板電極間にRF電圧が印加された条件下で、電子と水素およびメタンガス分子との衝突により正イオンや励起種などが生成される過程をモデリングした。また、このとき、正イオンと気体分子の気相反応で生じる正イオンについても、反応係数を考慮しながら取り入れた。このモデルに基づき、RFプラズマの発生段階のシミュレーションを行ない、電子および正イオンの平均エネルギーおよび数密度の電極間における変化を得た。正イオンの中では、H^+イオンの密度が極めて高く、他の正イオンの10倍程度の密度であり、電極間中央部では電子数密度と同程度であることがわかった。また、電極近傍では、H^+イオンの密度が電子密度より高くなっており、空間電荷電界歪みの原因となっていることがわかった。 2.電子衝突断面積の検討および修正 水素ガスおよびメタンガスの電子衝突断面積のデータを収集し、電離係数などの電子輸送係数を計算し、実測値と比較しながら修正を行った。その結果、メタンガスについては、比較的妥当な衝突断面積を得ることができた。水素ガスでは、高E/p領域になるにしたがって、これまでに報告されている電離係数の値が、測定者間で大きく異なっており、計算結果と比較するべき実測データを特定する事に困難があることがわかった。本研究では、水素-メタン混合ガスの電離係数を測定し、このデータに基づいて、水素ガスの電子衝突断面積を修正を行うこととし、本年度の研究では、混合ガスの電離係数を広い範囲のE/pにわたって測定した。その結果、E/p_0≧150(V/cmTorr)の範囲において、混合ガスの電離係数が、水素およびメタンガスのいずれのそれよりも大きくなる場合(電離係数における相乗効果)があることが明らかになった。今後、このデータを利用して、電子衝突断面積の修正を行いたい。
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