磁性薄膜中に存在する磁壁上の磁化構造であるブロッホラインを情報の記憶単位として用いるブロッホライン記憶装置は、次世代の不揮発性高密度個体記憶装置として現在研究が進められている。情報の書き込み操作であるブロッホライン対の書き込みの操作の一つとして、ブロッホポイント注入法が提案されている。この手法ではまずunwindingな二つのブロッホライン対を生成し、それぞれの内側のブロッホラインを消去することで、windingで安定なブロッホライン対を生成する。内側のブロッホラインの消去過程において、ブロッホポイントの発生が仮定されているが、実験ではブロッホポイントは直接観測することは出来ない。ここでは計算機シミュレーションを行なうことで、ブロッホライン書き込み操作の一部であるブロッホポイントの注入によるブロッホライン対の消滅過程の詳細を求めた。これらの計算は東京大学大型計算機センターのスーパーコンピュータを用いて行なった。計算は三次元の動的計算であるために、その結果として膨大な数値データが得られるが、これを詳細に解析するためには数値の視覚化が必要になる。この作業は研究室のワークステーション上で行なった。数値データと視覚化した画像データは膨大な量になるために、専用のハードディスク装置を購入した。
|