ダイヤモンドヘテロエピタクシにおいて重要なパラメータである核形成密度を制御する負バイアス処理について検討を行った。その効果は雰囲気ガスに強く依存しており、酸素は核形成に不適当な影響をもたらす。Si基板に対して、CH_4ガス・酸素フリーの負バイアス処理では、核形成密度が未処理に比べ2桁程度向上した。一方、CH_4にO_2を添加した場合、あるいはCOガスによる処理の場合、核形成密度は未処理の場合と同様にとどまり、Si基板表面はかなり荒れたモフォロジを示した。ダイヤモンド成長において、酸素は成長レートを向上させることがよく知られているが、核形成時に基板および初期ダイヤモンド核におよぼす影響について詳しく調べることが必要である。 さらにp-i-p注入形ダイオードおよびMOSダイオードをホモエピタクシャル成長により、作製、その特性を調べた。注入形ダイオードの作製にはYSZによる選択エピタクシを使用した。as grownでは、表面導電層が形成され、この層は酸素中、500℃アニールによって、除去することができた。その詳細については現在検討中である。これによって、本来のp-i-p注入特性が測定できるようになった。一方、MOSダイオードは絶縁膜に誘電率の大きなBaTiO_3を用いることによって、大きな容量の電圧依存性を得た。いずれのダイオードの場合も非常に高い密度を持ったトラップの存在が示唆された。p-i-pダイオードによりバルクトラップ密度は価電子帯上0.9eVに〜10^<18>cm^<-3>、またNOSダイオードから界面準位は価電子帯上1.7eVと見積もられた。
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