光反射層を設けた高分子分散液晶(PDLC)素子を作製し、従来の透過型PDLC素子との比較及びメモリ効果に関する影響について考察を行った。 1.PDLC素子の作製 PDLC素子の基板の一方にITO透明電極、もう一方に光反射層としてアルミ蒸着(厚さ約2000Å)を施したものを用いた。走査電子微鏡による高分子マトリクスのモフォロジー観察により、ITO界面とアルミ界面ではそのモフォロジーに違いが見られなかった。 2.電気光学特性の測定 積分球を使用して素子の後方散乱(反射光)光強度の膜厚依存性及び印加電圧特性を測定した。反射層を設けたPDLC素子では、反射層なしの素子に比べオフ状態の後方散乱光を10倍程度明るくできた。電圧を印加すると、オン、メモリ状態の後方散乱光は減少する。さらに膜厚を薄くすることで、メモリ状態におけるコントラスト比の増加と駆動電圧の低減化が両立できた。 3.散乱光のスペクトル解析 オフ状態において、反射層なしのPDLC素子では、前方散乱光は長波長側で増加し後方散乱光は短波長側で増加するためそれぞれ赤、青白色となる。反射層を設けた素子はこの2種類のスペクトルを加えたものとなり、波長依存性のない無色となった。オン、メモリ状態では短波長側で強度が増加し青白色となった。 4.熱書き込み特性 アルミ反射層の存在によっても従来と同様に熱書き込み、部分消去及び全体消去が可能なことを確認した。
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