インテリジェント・センサへの応用を考えた場合、その信号処理部分であるファジィ・ハードウェアに要求される性能としては、小形化、低電圧化、低消費電力化に加え、温度ドリフト等の外部環境の影響を受けないことが特に重要である。これらのことを実現するため、以下に示す三つの新しい技術を提案して、ブレ-ドボードおよびコンピュータシミュレーションによって、その性能を確認した。 1.除算器を必要としないファジイ推論アルゴリズムの提案 小形化を実現する上で、問題となっていた点の一つは、非ファジイ化演算で用いられる除算器の実現である。そこで本研究では、非ファジイ化演算で除算器を必要としないアルゴリズムを新たに提案した。このアルゴリズムに基づくファジイ・ハードウェアは除算器がなく、小形化できる。 2.外部環境に影響を受けないバイアス回路 各ブロックの特性がバイアス電圧、バイアス電流で決定されることに着目して、外部環境に影響されないバイアス回路を実現することで、ファジイ・ハードウェア全体の外部環境の影響を小さく押さえることができた。従って、各ブロックにはドリフト抑制機構等は必要なく、非常に簡単な構成で実現できる。 3.Folded Circuitの採用 ブロック間の接続にFolded Circuitを用いることで、電源電圧に対する動作電圧範囲を大きくすることができ、低電圧を達成した。
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