1.分布関数による画像領域の形状記述 画像の通信や蓄積のためのデータ圧縮を目的として、領域の形状を少ないデータ量で効率よく記述するための一方式を提案した。本方式は図形の内部領域を基本形状要素の集合で表現し、その基本形状要素には濃度分布関数で輪郭線が定義されるものを用いる。さらに、さまざまな近似度や解像度で領域を復元するために、輪郭線をガウスフィルタで平滑化することにより得られた領域の多重解像度表現に基づいて、要素の集合を木構造で構成する方式を提案した。 2.モルフォロジーに基づいた楕円体による画像領域の形状の記述と表現 画像の領域を効率よく記述し、また、復元するための一方式として、対象領域の内部を楕円体の集合に分解することに基づく方式を提案した。そのための対象領域から大きさの降順に楕円体を分離抽出していくアルゴリズムをモルフォロジーで構成している。さらに、形状分解により得られた要素の集合をその大きさと隣接関係とに基づいて階層的な木構造で表す。また、要素の系列のうちの先頭から始まる部分系列を用いて領域を近似表現することにより、データ量の削減を図っている。このときの要素間の隙間を埋めるために1の研究で得られた濃度分布関数で定義した大円体を用いている。 3.2値画像の情報非保存型符号化のための文字の近似に関する研究 ファクシミリ画像などの2値画像の高能率符号化方式として原画像を完全には復元しない情報非保存型の符号化に関する研究を行った。このときの復元画像の画質を制御するために、2値図形の大きさに応じて心線に基づく記述と輪郭線に基づく記述とを切り換えることを検討し、本年度はそのうちの文字図形に関する検討を行った。文字の心線をベクトルあるいは高次の曲線分で近似したときの記述データ量を復元文字の判読性の観点から検討し、大幅なデータ削減が可能であることをシミュレーションにより確認した。
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