情報ネットワークを通じて伝送される情報の質ならびに量の双方が飛躍的に向上するに伴い、高信頼性技術に対する必要性が認識されつつある。情報ネットワークにおける信頼性は、交換ノードの故障や回線の切断事故などによるネットワークポロジー変化に対応するマクロなものと、伝送誤りや伝送中に生じた情報廃棄に対応するミクロなものに分類される。本研究は、高品質、大容量通信を実現する情報ネットワークとして注目を集めているATM(Asynchronous Transfer Mode)方式を用いた広帯域ISDNに対し、上記の2つの視点からみた高信頼性技術の開発を試みた。具体的には以下の結果を得た。 (1)障害自動回避方式を用いた際の容量設計法の提案(マクロ信頼性に対する研究課題) ノード及び回線に障害が発生した場合に、障害が発生した部分を自動的に回避する方式(セルフヒ-リング方式)を用いた際には、迂回時に確保できる容量をあらかじめ見積もった上でネットワークの容量設計を行う必要がある。迂回時のために用意する予備容量をできるだけ少なくする容量設計法を提案し、その有効性を計算機シミュレーションにより明らかにした。 (2)セル無廃棄、セル遅延無変動を保証する伝送方式の開発(ミクロ信頼性に対する研究課題) ATMネットワークにおいては、伝送単位であるセルを蓄積交換により伝送するために、構造的にセル廃棄、遅延変動が生じる。時間軸上に仮想的にフレームの概念を導入し、セル伝送時間位置を指定することにより、セル無廃棄、遅延無変動を保証する仮想STM方式を提案し、その有効性を計算機シミュレーションにより明らかにした。
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