研究概要 |
本研究の目的は,分散型交換ネットワークを対象として,ネットワーク内での伝送遅延時間のみならず,エンドユーザで新規に発生したパケットがネットワーク内に送出されるまでの待ち時間をも含めた性能評価を行うための同ネットワークのモデル化手法および解析手法を確立し,最適な分散型交換ネットワークを明らかにすることにある.ここでは,このための基礎研究として,Manhattan Street Network(MS-Net)と呼ばれる分散型交換ネットワークを対象に,以下の研究を行った. 1.MS-Netにおけるノードのモデルとして,従来のノードモデルに送信バッファを追加した新たなモデルを考え,エンドユーザで新規に発生したパケットは,一旦送信バッファに収容され,次ノードへの中継リンクが使用可能になったとき,ネットワーク内に送出されるとすることにより,エンドユーザで発生したパケットがネットワーク内に送出されるまでの待ち時間の評価を可能にした. 2.MS-Netは,mxn(m,nは正整数)個のノードで構成されるが,ノード数を固定しても,その形態は一意に決まらず,mとnの値に応じて様々な形態を取り得る.ここでは,mとnの様々な組合せに対して,1.のノードモデルを用いてシミュレーションを行い,ノード数を固定した場合,エンドユーザ間での平均パケット伝送遅延の面からのMS-Netの最適な形態は,mとnの差が最も小さいときの形態であるということを明らかにした. 以上のように,本研究では,エンドユーザーで発生したパッケトがネットワーク内に送出されるまでの待ち時間を得るためのノードモデルを考え,これを用いたシミュレーション結果により,MS-Netの最適な形態を明らかにした.
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