研究概要 |
本研究ではアナログ回路網およびディジタル回路の記号解析を,数式処理言語を積極的に利用して行う手法について検討を行った.検討した手法では,回路網の接続情報を入力し,それにもとづき回路解析行うための数式処理言語のプログラムを生成する,いわゆるプログラムジェネレータの形式をとっているため,数式処理言語自身には特に変更等を加える必要はない. まず,アナログ回路網の記号解析は抵抗,キャパシタ,インダクタ,独立電圧・電流源および電圧制御電流源からなる回路において,すべての素子値を記号としてとらえた解析が可能である.また,解析対象の回路網をいわゆる手続き型言語の様に表現する方法について検討を加えた.これにより,あたかも手続き型言語において,主プログラムから副プログラムを呼出すように,回路網を幾つかの部分回路の相互接続として表現することができる.この際,回路網の節点番号や素子名などはプログラムが管理するため,利用者は特別な意識しなくてもよい.また,解析内容についても同じ様に言語的な表現ができるように工夫をした.すなわち,どの素子を記号としてとらえるかあるいはどの素子を数値としてとらえるか,またいかなる解析をどのような順序で行うのかについて,利用者は用意されている命令を使って自由に表現することができる. つぎに,ディジタル回路の記号解析は,係数乗算器,加算器,遅延器からなる回路において,すべての乗算器の係数と遅延器を記号としてとらえた解析が可能である. 以上の研究成果についてはそれぞれ情報処理学会と電気学会に論文として投稿中であり,そのうち電気学会に投稿したものについては条件つき採録の結果を得ている.
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