研究概要 |
生体が感覚系・運動系の統合により適切な運動パターンを生成するモデルとして次の2点について考察した. 1.多くの生体の基本的な運動はCentral Pattern Generator(CPG)によって制御されている.CPGは脊髄に存在し,振動子集団とみなすことが出来るが,高次中枢は遠心性コピーによってCPGの活動をモニターし,適切なパラメータ調節をCPGに対して行なうことによって多様な運動パターンを実現していることを筆者らは以前ヤツメウナギの運動制御モデルにおいて示唆した.そこで今年度は,CPGのような振動子結合系によって適切な運動パターンを生成できるように,振動子結合糸パラメータを学習する方法を提案した.その結果を1本脚のホッピングロボットの制御に適用し,望ましい高さでのホッピング,望ましい移動速度のホッピングを実現できることをシミュレーションで確認した.さらに,実際のロボットの試作により,望ましい高さのホッピングが可能であることを示した. 2.ヒトが,手を動かすといった運動制御を行なう時,運動に習熟していない時にはフィードバック制御をおこなってると考えられる.しかし視覚や体性感覚によって得られるフィードバック信号は数十〜数百msの時間遅れがあるため数百ms程度の速い運動の制御は行なえない.しかし,制御対象の順モデルを構築出来れば,遠心性コピーを順モデルに入力することにより,時間遅れのないフィードバック信号を推定でき,速い運動に対するフィードフォワード制御を行なえるようになる.そこで,順モデルを神経回路網で構成し,フィードバック制御を行ないながら学習することによって,フィードフォワード制御を行なえるようになる方法を考察し,手でものをなぞるような運動について,シミュレーションによって動作を確認した.
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