研究概要 |
本研究では,ペトリネットをシーケンス制御システムの表現モデルとして用い,そのモデルのペトリネットインバリアンス性についていくつかの性質を解明した。 まず,シーケンス制御システムの性質により,モデルが必ずプレースインバリアントとトランジションインバリアントをもつことを解明した。プレースインバリアントをもつことにより,大規模のシーケンス制御システムが分割可能となった。さらに,そのためのモデリングの手法を開発し、この成果は電気学会論文誌D平成6年7/8月号で『プレースインバリアントをもつペトリネットによるシーケンス制御システムのモデリング』として掲載される予定である。本論文では,プレースインバリアントをもつサブネットでシーケンス制御システムの基本構成要素を記述し,これをモジュールとし,ネットの参照関係によるシステムをモデリングする方法について述べた。また,トランジションの発火競合を分類し、競合を解消するための規則を定義した。 一方、分割されたネットの解析については,トランジションインバリアントを利用し,対象システムの構造解析の手法を与えた。これはすでに計測自動制御学会論文集1993年12月号で『ペトリネットの構造解析と計数プレースの付加法』として掲載された。本論文では,ペトリネットの構造解析によって,ペトリネットのサイクル構造と並列構造の合計数が接続行列の列のランク落ちの数に等しいことを証明し,トランジションインバリアントを求める連立1次方程式の基本解からサイクル構造または並列構造を判別する代数的方法を提示した。そして,提案した方法により付加した計数プレースが,各異なるサイクル構造または並列構造のところにちょうど1個ずつ付加されることを証明した。 さらに,これらの手法のいくつかの点で新しい展開が得られ,学会や研究会等で研究成果を発表した。内容の一部はすでに論文として投稿している。
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