まず、発振波長変化幅の正確な同定を行なうため、注入電流に対する発振波長の変化量すなわち変調効率を測定した。この結果、変調効率は、6.8×10^<-3>nm/mAであった。次に、当初の計画通り、2系統の離散時間制御系を構成し、干渉信号の位相を時分割でフィードバック制御した。これにより、piだけ離れた2つの位相安定点で干渉信号の位相を独立にフェーズロックできることが確認できた。しかしながら、単にフィードバック制御を施した場合の測定誤差は数mmであった。そのため、誤差原因を検討し、測定誤差の除去を行なった。以下に誤差原因とその対策を示す。 1.位相差がpiである場合、注入電流の差が非常に小さくなり、電流の差、すなわち等価波長を正確に測定することが困難であった。このため、注入電流の大きさを決定する積分器の出力を減衰器によって減衰し、積分器自体の出力を等価的に大きく測定できるよう改良を加えた。 2.1.では減衰器を2つの積分器に対して、それぞれ1つずつ設けていたため、減衰器でのゲインの差が注入電流の値の差となって現れた。そこで、2つあった減衰器を電流切り替え用スイッチの後方に移動し、1つにまとめた。これによって、減衰器でのゲインの差による誤差を除去できた。 3.干渉信号から生成するフィードバック信号は、sinalphaあるいはcosalphaであり、本来直流分を含まないはずであるが、レーザ光の強度変調の影響等により、若干オフセットがのる場合が観測された。オフセットがあると、2つの位相安定点の位相差が完全にpiとはならず、測定誤差を生ずる。そこで、レーザ光の強度変調を抑制するとともに、制御開始前のフィードバック信号のオフセット除去を行なった。 以上の誤差原因を除去した結果、標準偏差0.3mmで距離の絶対測定を行なえることが確認できた。
|