研究概要 |
従来,光化学センサでは,光ファイバなど光導波路がセンサ信号の伝達路としてのみ使用されてきた.本研究では,光導波路自体をセンサとして用い、ガスなどの化学物質,特に体液成分の高感度光センシングを目的としている.また,光センシング応答の高速性を生かしたリアルタイムモニタをも目指している. センサヘッドとなる光導波路としては,ガラス基板上にLB膜を付着させたスラブ導波路,および色素ドーププラスチックファイバの2種類を用いた.またLB膜センサではガス選択性の向上をはかるために,櫛形銀電極を導波路に作成し,LB膜の導電率変化を測定できるようにした. 当該年度では,体液成分として尿中に含まれるアンモニア,および呼気中に含まれる湿度変化を検出する光センサを作成しその特性を測定した.また,LB膜センサでは,先に述べた光強度変化,導電率変化検出の複合型センサを作成することを目指したが,当該年度は,基本的データとしてそれぞれ個別の特性を測定した.以下にその結果の概要を示す. 1.呼気中の湿度変化を測定するために,フルオレセイン色素ドープの光ファイバを隔世作成した.このセンサにより,呼気中の僅かな湿度変化をとらえることができることが確認され,またセンサの応答速度は呼吸に十分対応できることが確認された.今後呼吸状態のモニタのみならず,発汗量の連続測定などの応用が期待できる. 2.アンモニア・センサーとして,チモールブルー吸着アラキン酸LB膜およびメロシアニンLB膜を作成した.チモールブルー吸着LB膜はアンモニアに対して吸光度の変化がみられ,メロシアニンLB膜は,アンモニアに対して導電率の変化が確認された. 3.メロシアニンLB膜は,NO2に対しても導電率を大きく変化させることが確認され大気中のNO2センシング等の可能性の見いだされた.
|